第十九章

橘詩織は華奢な指先で素早く画面をタップした。

「白川亜希に何かされたの?」

アシスタントの少女から、すぐに電話がかかってきた。その声は悔しさを必死に堪えているようだった。

「嫌がらせなんてもんじゃありません。私たちのチーム、もう立て続けに三人も辞めたんですよ」

「辞めたですって?」

詩織は驚きのあまり、思わず席から立ち上がった。

西園寺グループの給与と待遇は市内でもトップクラスであり、将来性も抜群だ。彼女が率いていたチームのメンバーは、インターンの中から詩織自身が選抜した優秀な人材ばかりである。ゼロから育て上げ、今では一人ひとりが担当エリアで陣頭指揮を執れるほどに成長していた。

...

ログインして続きを読む