第193章

早朝。

ベッドサイドの目覚まし時計が鳴り響く。橘詩織は眉をひそめて手を伸ばし、それを止めた。まだ瞼は重く、意識も完全には覚醒していない。浅い呼吸を繰り返す彼女の鼻先を、ふと何かの香りがくすぐった。

動きが止まる。数秒の遅れで状況を理解した彼女は、弾かれたように目を見開き、自分がどこにいるのかを反射的に疑った。

急速に意識が戻ってくるにつれ、昨夜の記憶が蘇る。深夜、強引に家に押し入ってきたあの男のことだ。彼女は跳ね起きると、無意識に掛け布団を跳ね除けてベッドを降りた。

寝室のドアを開ける。朝食の芳醇な香りは、先ほどよりも一層濃くなっていた。そして――

キッチンの方角から、フライパンと...

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