第194章

橘詩織は虚を突かれたように、少し意外そうな顔をした。

三水真司の視線を追って、まだ微かな温もりを帯びたミルクティーを見つめると、心の底に極めて小さな驚きが掠めていった。

まさか三水真司が、こんなことのためにわざわざ礼を言いに来るとは思わなかったし、それもこれほど素朴で飾り気のない形だとは予想していなかった。

呆気にとられている間に、胃の中で暴れ回る不快感と胸のつかえが、この突拍子もなく、何の裏表もないささやかな善意によって、ほんの少しだけ和らいだような気がした。

「ありがとう」

橘詩織は唇を引き結んだままミルクティーを受け取った。指先に伝わるカップの温もりに、やつれた顔に浮かべた笑...

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