第198章

「千尋姉さん、橘社長」

三水真司はボックス席の脇まで歩いてくると、どこか堅苦しそうに挨拶した。

彼の視線は一瞬だけ橘詩織の顔に留まったが、すぐに逸らされた。耳の根元が微かに赤らんでいる。

橘詩織は清水千尋の方を向き、その瞳で無言の問い詰めを行う。

だが、清水千尋は見て見ぬふりを決め込み、明るく三水真司を促した。

「ほらほら、こっち座んなよ。何飲む? 私の奢りだからさ」

「何でもいいです。千尋姉さんが決めてください」

三水真司は橘詩織の隣に腰を下ろしたが、そこには意識的な距離が保たれていた。

橘詩織はついに堪えきれず、声を潜めて清水千尋に耳打ちする。

「どういうつもり?」

...

ログインして続きを読む