第199章

橘詩織の言葉に、三水真司は頑なに首を横に振った。その瞳には、譲れない何かが宿っている。

「いいえ、社長には本当に助けていただいたんです。ただ、社長が覚えていらっしゃらないだけで」

語るうちに感極まったのか、彼の目元が赤く染まる。三水真司は勢いよくグラスを煽り、酒の力を借りて胸の内を吐き出そうとしているようだった。

「橘社長、ご存じないかもしれませんが……あなたは僕の目標なんです。僕がなりたいと願う理想そのもので……本当に、心から尊敬しています」

最後の一言は囁くようだったが、不思議と耳に鮮明に残った。

ボックス席に静寂が落ちる。遠くで流れるBGMだけが、空間を満たしていた。

清水...

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