第二十章
闇夜の中で二つの視線がしばし交錯したが、先に目を逸らしたのは一方の影だった。彼女はふわりと艶やかに微笑むと、グラスの中の液体を一気に煽った。
グラスを置く頃には、先程のやり取りなどまるで存在しなかったかのように振る舞っている。
西園寺玲央は眉間に微かな皺を刻み、窓枠に切り取られた揺らめく人影を目で追った。物理的な距離はこれほど近いというのに、彼女の存在はどこか頼りなく、幻のように感じられる。
女の顔は淡い光の粒子に包まれていた。時折花が咲くように笑い、時折眉をひそめて思案する。
その生き生きとした表情の一つひとつが、西園寺玲央の冷ややかで深遠な瞳の奥に波紋を広げていく。ふと、彼は思い...
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