第200章

「西園寺玲央、何してるのよ! 詩織を離して!」

化粧室から戻った清水千尋は、その光景を目にした瞬間、酔いが一気に覚めた。

姿を見せるより先に怒声が響く。彼女はハイヒールを鳴らして駆け寄ると、橘詩織を庇うように立ちはだかり、西園寺玲央を睨みつけた。

「もう何の関係もない赤の他人でしょ。何の真似?」

清水千尋の口調は、鋭い詰問の響きを帯びていた。

西園寺玲央は清水千尋を一瞥すらせず、ただ橘詩織だけをその瞳に映し、一語一語噛み締めるように繰り返した。

「俺と帰るぞ」

「帰るって、どこへよ?」

清水千尋は怒りで震えていた。橘詩織が口を開く暇も与えず、西園寺玲央の鼻先に指を突きつける。...

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