第205章

第5章

翌日の夜。

橘詩織はレストランへ向かう車の中で、無意識に診断書の入った封筒の端を指先でなぞっていた。

今夜会う予定の太田社長は、会社の下半期における重要プロジェクトの出資候補者だ。金払いは良いが、何よりも体面とコネを重んじる八方美人だと聞いている。

車がレストランの正面に滑り込み、ドアマンが恭しくドアを開けた。

橘詩織は深く息を吸い込み、非の打ち所のないビジネススマイルを浮かべて車を降りた。

店内には温かみのある照明が灯り、優雅なピアノ曲が流れている。ギャルソンの案内で、橘詩織は予約していた個室へと歩を進めた。

しかし、ある豪奢なボックス席の横を通り過ぎようとし...

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