第217章

「上出来だ」

西園寺快は満足げに舌なめずりをした。

「さて、身につけているものをすべて取り出して、遠くへ放れ。それからゆっくりと歩いてこい。少しでも妙な真似をしてみろ、こいつを即座に殺すぞ」

西園寺玲央は苦悶の表情で身体を起こすと、指示通りに財布や車のキーなどを一つずつ取り出し、遠くへ放り投げた。

そして、足をもつれさせながら、一歩、また一歩と、西園寺快と橘詩織の乗る薄汚れたミニバンへと歩を進める。

一歩踏み出すたびに、全身の傷が悲鳴を上げた。

近い。あと少しだ。

ミニバンのリアウィンドウ越しに、西園寺快の勝ち誇った顔と、涙を溜めた橘詩織の瞳が見える。

「来ないで、玲央! 彼...

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