第26章

アルコールが徐々に脳を浸食し、理性を蝕んでいく。

橘詩織はキリキリと痛む腹を押さえ、テーブルに突っ伏して荒い息を吐いた。怒りと悔しさが、交互に胸の奥から込み上げてくる。

朦朧とする意識の中で、西園寺玲央のあの支配的な瞳が、執拗に自分を凝視しているような錯覚に陥る。どんなに振り払おうとしても、その陰鬱な気配は消えなかった。

「橘詩織、俺に泣きつくような真似だけはするなよ」

男の薄らとした怒りを含んだ声が、亡霊のようにまとわりついて離れない。

詩織は限界まで眉を寄せ、苦悶の表情を浮かべた。

一方、別の個室では。

白川亜希がソファに座り、唇を噛んでいた。長い脚を組み、ソファに預けてい...

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