第28章

橘詩織がアトリエに戻ってきたとき、その顔色は透き通るほど白く、厚めのメイクでさえ隠しきれない疲労が目元に滲んでいた。

グローバル・シティとの提携話はすでに所内で広まっており、誰もが首を長くして最終的な交渉結果を待ちわびている。

橘詩織の帰社に気づいたアシスタントの少女は、逸る気持ちを抑えきれずに駆け寄った。

最初は誰もが期待に胸を膨らませていた。しかし、橘詩織の生気のない様子を目にした途端、スタッフたちの心は一気に冷え込み、不安が伝染して誰も口を開けなくなってしまった。

橘詩織は社長室に入ると、ブラインドを下ろし、窓の外にある緑に視線を投げて心を無にし、次の一手を思案した。

コンコ...

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