第32章

二人の巻き起こした騒動は小さくなく、またその特殊な身分も相まって、ロビーにはたちまち野次馬の人だかりができた。

西園寺快(さいおんじかい)が西園寺玲央(さいおんじれお)の相手にならないことは明白だった。一分も経過しないうちに、その顔にはいくつものあざや傷が刻まれている。

橘詩織(たちばなしおり)は眉根を寄せ、心の中で悪態をついた。この修羅場が続けば、どのような事態を招くか想像もつかない。

西園寺家の若手たちは、もとより株式を巡って骨肉の争いを繰り広げている。水面下では険悪そのものだが、表向きは辛うじて体裁を取り繕っていたのだ。

だが今、こうして憚ることなく殴り合いを演じている。またど...

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