第35章

橘詩織は深く考える暇もなく、視線を上げて霧島湊を見つめた。

霧島グループの支援とリソースがあれば、スタジオの運営に支障はなくなる。時が経てば、間違いなく強大な勢力へと成長するだろう。

だが、懸念がないわけではない。

霧島グループの下につくということは、西園寺玲央と完全に敵対する道を選ぶことに他ならないからだ。

今でこそ西園寺玲央とは敵同然の関係にあるとはいえ、二大グループの利益抗争に巻き込まれるとなれば話は別だ……。

橘詩織は唇を噛みしめ、一度瞳を閉じた。

その時、脳裏に鮮明に浮かび上がったのは、あの日の会議室の外で見た、スタッフたちの若く希望に満ちた表情だった。

スタジオの仲...

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