第46章
退院の日、日差しは刺すように眩しかった。
橘詩織は一人で手続きを済ませ、荷物をまとめて病院の正面玄関に立った。久しぶりに吸い込む外の冷気。病室に長く閉じ込められていた鬱屈とした気分が、少しだけ晴れていくのを感じる。
スマートフォンを取り出し、タクシーを呼ぼうとしたその時だ。一台の黒いスポーツカーが音もなく滑り込んできて、彼女の目の前で停まった。何事かと視線をやると、窓が下がり、そこにはいつもの薄い笑みを浮かべた顔があった。
「橘さん、退院おめでとう」
霧島湊は口元に笑みを湛えたまま、珍しく冗談めかして言った。「今日退院だと聞いてね、迎えに来たんだ。どうやらタイミングは完璧だったようだ...
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