第62章

深夜。高層ビルの最上階にあるオフィスは、煌々とした明かりに包まれていた。

静寂に満ちた書斎に、西園寺玲央の携帯電話の通知音が鋭く響き渡る。彼は手にしていた診断書を置き、携帯を手に取った。

メッセージを開き、そこに添付された写真を目にした瞬間――彼の表情が凍りつき、全身から発せられる空気が瞬時に冷え込んだ。

……

バーの中。

霧島湊の振る舞いは、確かに非の打ち所がなかった。

今の彼は攻撃性を完全に潜め、その一挙手一投足は洗練された紳士そのものだ。清水千尋が投げかける突拍子もない話題を難なく受け止めるだけでなく、巧みに橘詩織が興味を持ちそうな分野へと話を誘導していく。

詩織がさらに...

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