第7章 誰かに言ったら殺す
相葉詩礼視点
赤坂里樹のオフィスのドアの前に、私は立っていた。手のひらに、じっとりと汗が滲んでいる。
受付の女性がちらちらとこちらを見上げている。今にも吐きそうな顔をしている私を、いぶかしんでいるのだろう。
「赤坂さんにお会いしたいんです。急用です」
「アポイントメントはございますか?」
「昨日の会議に出席した、相葉詩礼だとお伝えください」
昨日も見た赤毛の男性が現れる。彼は訝しげな目で私を値踏みしてから、オフィスの方を顎でしゃくった。
「会ってくださるそうだ。手短にな」
中に入っても、赤坂里樹は顔さえ上げなかった。彼のオフィスは、金と権力をこれでもかと見せつけてい...
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チャプター
1. 第1章 心配しないで、誰にも傷つけさせない
2. 第2章 お互いを信頼できるかもしれない
3. 第3章 この人生に疲れたらどうする?
4. 第4章 もう続けたくない
5. 第5章 あなたのことを決して忘れなかった
6. 第6章 まるで過去の亡霊のようだ
7. 第7章 誰かに言ったら殺す
8. 第8章 一生君を守ると誓う
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