第21章 鈴

「……はい」

受話器の向こうから聞こえてきたのは、羽鳥家の執事の切羽詰まった声だった。

「三郎様、旦那様の持病が再発いたしました」

「持病が再発したなら、俺に電話してどうする。医者を呼べ!」

羽鳥紅蓮が怒鳴りつける。

執事は怯えたように声を縮めた。

「三郎様……旦那様が、三郎様にお戻りいただきたいと……」

その様子を見ていた千葉椿が、紅蓮の袖をそっと引く。

「用事があるなら、先に行って。こっちは一人で大丈夫だから」

「本当に平気か?」

紅蓮は疑わしげに彼女を見た。

「うん」

椿が小さく頷く。

紅蓮はそれでようやく受話器へ向き直った。

「今すぐ戻る」

通話を切ると...

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