第28章 試着室

羽鳥紅蓮は片手でハンドルを握ったまま、もう片方の手をズボンのポケットへ差し入れ、スマホを取り出して後部座席へ放り投げた。

「暗証番号」

「1127」

千葉椿は手早くロックを解除し、千葉峰に電話をかける。適当な嘘をでっち上げて、弟を丸め込んだ。

――ただ、その嘘が。

羽鳥紅蓮の耳には、やけに耳障りに響いたらしい。

眉をつり上げ、低い声で言う。

「千葉椿。俺がどんだけ年寄りに見える? 俺の娘の勉強を見てやってるって? それとも俺が中学生の宿題ひとつ教えられねぇって言いたいのか?」

千葉椿は引きつった笑みを作る。

「三郎様、そんなに気にしないでください。ただ弟を誤魔化しただけです...

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