第32章 もう一つは何ですか?

千葉椿が顔を上げると、見知らぬ若い男が立っていた。促されるまま、彼女は廊下へ出る。

「……どちらさまですか」

「秘書課です。林田悦と呼んでください」

「何かご用ですか」千葉椿が尋ねる。

「ボスがお呼びです」

「ボス?」千葉椿は首をかしげる。「社長……ですか?」

林田悦は軽く手を振った。

「俺のボスです。秘書課長」

「あ、そうなんだ」

千葉椿は一瞬、胸が弾んだ。社長様がわざわざ時間を作って会ってくれるのかと思ったのだ。そうなれば今日、千葉峰に思いきり自慢できる――。

……けれど呼んでいるのは秘書課長。とはいえ、秘書課長だって十分すごい。

林田悦に連れられて秘書課長室へ着く...

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