第44章 あなたのことが分からない

千葉椿は羽鳥紅蓮の腕をぐいっと掴むと、そのまま脇の曲がり角へ引っ張っていった。

紅蓮は事情が飲み込めないまま、彼女のこそこそした様子が妙に可笑しくて、口元をゆるめる。

「なに? これ。なにか後ろめたいことでもした?」

椿は彼を睨みつけ、声を落として言った。

「ここにいて。私の命令がない限り、絶対に出てこないで」

紅蓮は両手を腰に当て、椿を見下ろす。

「今度はなに企んでるんだよ」

次の瞬間、椿は彼を壁へ押しつけた。

――壁ドン。

そのまま紅蓮の襟元を整え、やけに優しい手つきで言う。

「紅蓮。仇に会ったの。でも……どうしよう。ほかの女に、あなたを見られたくない……」

椿が手...

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