第52章 人は変わるものだ

橘言一は慌てて取り繕うように言った。

「原野暁、こいつは俺の従兄だ。羽鳥紅蓮。……それと、千葉椿の店のオーナーでもある」

「羽鳥紅蓮? 羽鳥グループの社長って、あの?」

羽鳥紅蓮は淡々と一度だけ頷くと、千葉椿をぐいと抱き寄せ、腕の中へ収めたまま告げた。

「今は、千葉椿の婚約者だ」

まるで所有権を宣言するみたいな仕草。

驚いたのは原野暁だけじゃない。橘言一は、原野暁以上に目を見開いていた。

「ツバキ……」

橘言一が言い切る前に、羽鳥紅蓮が冷たく遮る。

「橘言一。これから先、ツバキと呼ぶな」

胸の奥がきしむ。視線も自然と陰った。

いつかこうなると分かっていたのに――それが、...

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