第53章 たった二千万か?

そのときになってようやく、偉そうに構えていた男が椅子をくるりと回し、彼女へ正面から向き直った。

目に浮かぶのは、露骨な侮蔑。

「君が千葉椿か?」

千葉椿は、その視線の意味くらい当然わかっている。

けれど構わない。どうでもいい相手の目なんて、いちいち気にしない。

こくりと頷く。

「はい。私が千葉椿です」

矢野炎はしばらく彼女を値踏みするように眺め、それからようやく口を開いた。

「西区の土地、投資先を探してるって話だな?」

「ええ」千葉椿は短く頷く。

「君の親戚の案件か?」

「はい。伯父の千葉佳正です。この件も、伯父に頼まれて羽鳥グループに伺いました」

矢野炎の目の不遜さ...

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