第7章 私はあんたに何を借りているんだ?

千葉椿は胸の内が焦げつくように落ち着かなかった。だが林田祐介はちらりと時計を確認すると、司会者へ「始めてください」と合図する。

司会者はマイクを握り、滞りなく式次第を進めた。

まずは定型の挨拶。

それが終わると、いよいよ本題――結婚式に欠かせない、あの問いかけへと移る。

「林田さん。お隣の千葉さんを妻として迎え、健やかな時も病める時も……生涯、愛し続けることを誓いますか?」

「誓います」

「千葉椿さん。お隣の林田さんを夫として迎え、貧しい時も富める時も、健やかな時も病める時も……命尽きるその時まで、愛し続けることを誓いますか?」

「わたしは……」

「彼女は誓わない」

氷を落...

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