第81章 彼の過去

千葉椿は視線を泳がせた。――最悪なことに、さっきの交通警官とばっちり目が合ってしまう。

いまこの瞬間、地面に穴を掘って潜りたい気分だった。

気まずさをごまかすように、彼女はへらっと手を振る。

「……や、やっほー。お巡りさん」

交通警官の額には、見えない青筋が浮かんでいる気がした。

なんでこう、二回も同じ連中に遭遇するんだ。

「羽鳥さん、白昼堂々――」

言い終える前に、羽鳥紅蓮が被せる。

「白昼堂々? 俺たち、別に何もしてないけど」

ここまで堂々とされると、怒る気力も削がれる。警官は深いため息をついた。

「羽鳥さん……申し訳ありませんが、反則切符を切らせていただきます」

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