第86章 椿、君を失うわけにはいかない

原野暁が千葉椿のもとへ駆け寄ったときには、椿はすでに羽鳥紅蓮の腕の中に抱き上げられていた。

「玉城崇、車を出せ。病院へ。玉城三吾、ここはお前に任せる。いいな――あいつらは、生き地獄を味わわせろ」

言い捨てると、紅蓮は大股で玄関へ向かった。

玄関に着くころには、玉城崇がすでに車のドアを開けている。

紅蓮は椿を慎重に抱えたまま後部座席へ乗せ、原野暁もほとんど飛び込むように助手席へ滑り込んだ。

玉城崇はエンジンをかけ、最寄りの病院へと車を走らせる。

幸い、ここからそう遠くない場所に軍病院があった。紅蓮は迷いなく椿を抱えたまま中へ駆け込む。

手術室の前。

赤く灯る『手術中』の文字を見...

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