第10章

向こうは、また沈黙した。

白瀬冬弥が、掠れた声で言う。

「今日は……咄嗟で、わざとじゃ……」

「もういい」温井知絵は、彼の一言一言が吐き気を催すほど嫌だった。「わざとかどうかなんて関係ない。手を上げた事実は消えない」

「……わかった、わかったよ。俺が悪い、全部俺が悪い。だから、どこにいるんだ? 今すぐ知りたい!」

「言ったでしょ。帰るって」

「今夜、必ず帰ってこい。じゃなきゃ星野市じゅうひっくり返してでも見つけ出す!」

白瀬冬弥の怒りが、電話越しにも滲み出てくる。

「……」

温井知絵は結局、折れた。

一時間後に家へ戻る、とだけ告げる。

あの男は、やると言ったら本当にやる...

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