第106章

温井知絵が反射的に手を伸ばし、高橋夏希の口を塞いだ。

まるで口封じでもするみたいに、そのままエレベーターへ引きずり込む。

「余計なこと言ったら殺す」――そんな目で睨みつけてくる。……こっちはもう十分、火の車なんだ。これ以上、変な誤解を増やさないでほしい。

いらない。そんなもの、ほんとに。

ふふ。

夏希は心の中で笑った。

さっき中、相当「激しかった」んだな。知ってたら私も突撃して見物したのに――と、乗り遅れたことが地味に悔しい。

「んむむ……」

夏希はこくこく頷き、指でOKサインまで作る。――言わない、絶対言わない。そういう意味だ。

ようやく知絵が手を離した。

外にいた三人...

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