第108章

彼らの目前まで来た瞬間、車がいきなり加速し、温井知絵めがけて突っ込んできた。

温井知絵は反射的に後ずさる。

背中が、追いかけてきた白瀬冬弥の胸にぶつかった。

冬弥は彼女を抱き寄せ、庇うように後ろへ下がる――そのせいで、さっきまで一人なら踏ん張れていた重心が崩れ、二人そろって地面に転がった。

突進してきた車は、別の車に追い上げられて進路を塞がれ、ギギッ、と急停止する。

「知絵!」

高橋夏希が顔面蒼白で駆け寄り、温井知絵を起こしながら、どさくさに紛れて白瀬冬弥の脛を蹴り飛ばした。

白瀬冬弥は夏希を睨みつけ、立ち上がるなり温井知絵に手を伸ばそうとする。

「大丈夫か?」

「触るな!...

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