第113章

嫌いなんじゃない。最初から、いい結末にならないって分かってるから、好きになれないだけ。

たとえホラー映画でも、主人公たちは最後まで生き残ろうと必死だ。

なのに彼女は、恋愛映画を終末映画みたいに扱って、欠片ほどの生存本能すら持ち合わせていない。

――けれど、胸が高鳴る力まで本当に失ったわけじゃない。

「お酒、取ってくる」

高橋夏希はうんざりして、何を言えばいいか分からないまま、くるりと背を向けてキッチンへ逃げた。

温井知絵はソファのほうへ歩く。

気のせいか、また外で足音がしたような気がした。

耳を澄ませると、何も聞こえない。……さっきの刺激が強すぎて、幻聴でもしたんだろう。

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