第116章

東堂彦一が、ぼそりと言った。

「このまま近づいたら……また怯えられる」

「……何に?」

「おまえには分からない」

唐沢晴海は、本気で分からなかった。

真夜中に片方は車で街をぐるぐる回り、もう片方も眠らずに後を追い、しかも見つかってはいけない――。

これ、かくれんぼでもしてるのか?

東堂彦一は遠くの車をしばらく見つめ、スマホで彼女が回っていた場所を確認した。周辺には、どこも薬局がある。

腑に落ちた。

彼は連絡先からある番号を探し出し、そのまま発信する。

温井知絵はハンドルに突っ伏し、うとうとと眠りに落ちかけていた。

はっとして意識を戻し、そのまま車をアパートへ向ける。...

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