第118章

東堂彦一は、はっと目を開いた。

瞳の奥で、冷たい光がひと筋走る。

「白石さん? 誰だそれ。誰がそんな名前を出した」

「……えっ——」

小沢諒は、彼の凍りついた不機嫌さに息をのむ。どこかで地雷を踏んだ。ここで知絵の名を出したら、帰ってから彼女がただじゃ済まない。

しどろもどろになりながら、どう誤魔化すか必死に頭を回す。

東堂彦一が、代わりに答えを突きつけた。

「温井秘書か」

昨夜、「良い週末を」と言ったあの女。

小沢諒は、汗が噴き出しそうになる。

本当に、この人には何も隠せない。ここで曖昧にしたら、余計に拗れる。

「……そうです。水曜の朝、社長が土曜にL市へ行くって言った...

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