第126章

「きゃああ――!」

不意打ちの恐怖に、心の準備なんてあるはずもなく。温井知絵たちは悲鳴を上げて、わっと後ずさった。

怖くないわけがない。

あんな大きな犬が飛びかかってきたら、噛み殺されなくても噛みちぎられる。

体育会系のがっしりした高橋辰己ですら顔色を変え……危うく、姉の高橋夏希を川へ押し落としそうになった。

温井知絵がとっさに夏希を引き戻し、そばの曲がった木を見つけると、夏希の腕をつかんで木に登った。高橋辰己は小川念可を連れて川岸の下へ飛び降り、先に身を隠す。

一瞬で場がぐちゃぐちゃになる。

「……落ち着け!」

唐沢晴海が叫んだ。

さっきまで止める暇もなかった。先に全員が...

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