第138章

彼がそれを手に取った。

動画を開いた瞬間、韓流ドラマみたいな甘ったるいロマンチックさがぶわっと押し寄せる。横で朝食を並べていた小沢諒が笑いながら言いかけた。

「この曲、けっこう――」

顔を上げた途端、社長の――周囲の空気まで凍りつきそうなほど険しい顔が目に飛び込んできた。

……こわっ、この曲。

「下で食うぞ」

東堂彦一はスマホをぶつりと切り、立ち上がって外へ出る。足取りが速い。鋭い殺気まで引きずっていくようだった。

え、これ本当に朝飯食いに行くテンションかよ。殺しに行く勢いじゃねえか――小沢は引きつりながらそんなことを思った。

困惑していると、自分のスマホもピコンと鳴った。取...

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