第141章

感じたみたいに、彼もこちらを見た。

視線が、ぶつかる。

まるで薄い電流でも走ったみたいに、身体の奥がじん、と痺れて――逃げるのも忘れてしまう。

彼はふっと笑って、いま私が何を考えているのかまで見透かしたように手を伸ばした。迷子になって怯えた子どもを宥めるみたいに、私の後頭部を、ぽん、ぽん、と軽く二度叩く。

何も言われていないのに、胸の内だけが不思議なくらい満たされる。あたたかい安全地帯。吹雪の日に、豪奢でぬくもりのあるガラスの家へ逃げ込んだみたいに。火に当たりながら、外で荒れ狂う雪を眺めている。怖くない。むしろ――おとぎ話みたいだ、と思ってしまう。

……おとぎ話なんて、信じないはず...

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