第142章

九条圭太が外から入ってきた。

顔色は、ぞっとするほど沈んでいる。

昨夜は接待でただでさえ疲れ切っていた。そこへ電話が入り、部下を連れてL市まで駆けつけ、母親の保釈手続きを済ませた。警察に連れて行かれた理由を聞かされた瞬間――自分の耳がおかしくなったのかと、本気で疑った。

殺人。遺体を果樹園に埋めた。

しかも母親は、共犯……?

五年前、圭太は海外留学中で、家で何が起きていたのか何も知らない。誰一人として、この件を口にしなかった。

妹が甘やかされて育ち、横暴で我が儘なのは知っている。白瀬冬弥のことで、常軌を逸したことをいくつもやらかしたのも知っていた。だが、それが限界だと思っていた。...

ログインして続きを読む