第145章

「社長、いらっしゃいました」

温井知絵はそう挨拶し、明るく上品な笑みを浮かべた。けれどその笑顔は、どこか作り物めいていて、媚びの匂いがする。

東堂彦一「……」

――はいはい、また『社長』ね。

彼は席に着くと、テーブルの上に鎮座するやたら目立つ大きなギフトボックスへ視線をやった。

「なんだ、それ。俺に?」

温井知絵は慌てて頷く。

「ほんの気持ちです。このたびは本当に大きな助けになっていただいて……どうお礼をしたらいいか分からなくて。これは私が大事に取っておいた一つで、社長に差し上げます。まずは形だけでも……気に入っていただけたら嬉しいです」

東堂彦一の表情は、さらに冷えた。

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