第146章

ブドウ?

――あ、ブドウ!

助けて、ブドウ! ブドウなんて大嫌い!

温井知絵は崩れ落ちそうになりながら、玄関へ向かった。

途中で、自分がキャミソール一枚だと気づいて、慌てて引き返す。上着を羽織って、また玄関へ。

行ったり来たり。緊張と焦りで心臓がうるさくて、ドアを開ける頃には肩で息をしていた。額にはうっすら汗まで浮いている。

「走ってたのか?」

東堂彦一が、汗だくの彼女を見て眉を上げた。

温井知絵はそのまま話を合わせる。

「ええ。ランニングです。運動は身体にいいですから」

そう言いながら、視線は彼の手元の袋へ。腰を折って受け取ろうとする。

「ブドウ、私が持ちます。わざわ...

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