第156章

「何を待ってるの?」

東堂彦一は困惑した顔をした。

温井知絵の心臓は時速180キロで暴走していた。思考も言葉の組み立ても追いつかない。今ここで言わなければ、あとで何か起きて取り返しのつかない火種になる気がする。けれど回りくどく言って誤解されるのも怖い。だから、いちばん短く、いちばんわかりやすい言い方を選んだ。

こっそり深呼吸して、さらにもう一度、息を沈める。

「……責任、取らなくてもいい?」

東堂彦一の目が、すっと細くなる。

誰だ、この女は臆病だなんて言ったのは。

度胸が天井を突き抜けている。

彼は何も言わず、ただ黙って彼女を見つめ続けた。長い、長い沈黙。温井知絵は、体にキノ...

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