第16章

温井知絵は食事を終えると、ソファに丸くなった。

伊藤良国とのトーク画面を開いては消し、打っては消し……それを何度も繰り返した挙げ句、結局やめた。

――東堂彦一、あれはどういうつもり?

サイズまで聞いておいて、やっぱりスーツはいらないって?

人を振り回して楽しいわけ?

大物の考えなんて読めるはずもないし、読みたくもない。あの未決のスーツさえ片づけば、彼女の人生と交わることなんて二度とないはずだ。

そのとき、リビングの外から足音が近づいてきた。

温井知絵はトーク画面をさっと閉じ、抱えていた膝を下ろす。

「お前の服と靴とバッグとアクセ、どこ行った?」

白瀬冬弥は入ってくるなり、い...

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