第163章

温かな息が、じわりと肌を這ってくる。

「怒るなよ。……塗り返させてやる」

「……」

塗り返すって、何だよ。

誰が塗り返すか!

温井知絵は手を引こうとした。けれど彼の指が逃がさない。掴まれたまま、彼の腰のあたりをなぞらされる。シャツ越しの腹筋が、じわじわ熱を帯びていく。

下なんて、これ以上見られるわけがない。

「そ、そ、その子……あ、あんた、ほんとに知らないの?」

話題を逸らすしかなかった。

東堂彦一は「ん」と短く答えた。低くて艶のある声。彼は知絵の身体に頬を寄せ、背中のホックを、長い指先で音もなく外していく。

知絵の呼吸が、ぶつぶつと途切れた。

速くなったり、弱くなった...

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