第171章

高橋夏希が外から入ってきた。

ドアの開く音を聞いた瞬間、温井知絵は魂が抜けかけた。

反射的に東堂彦一の腕を引っ張り、部屋に隠そうとする……その慌てっぷりは、まるでこっそり年下の男を囲ってるのを親友に見られたくない、みたいで。

手を掴んだ、その次の瞬間。

逆に握り返される。

東堂彦一は落ち着き払ったまま、余裕の笑みで息を吐いた。

「慌てなくていい、知絵。もう間に合わない」

温井知絵の瞳がびくりと揺れる。……!

彼女は首をこわばらせたまま、ゆっくり振り返った。

リビングには、白いスーツをきりっと着こなした高橋夏希が立っていた。大きな杏色の瞳を見開き、こちらを凝視している。

そ...

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