第175章

温井知絵「……!」

高橋夏希!

この裏切り者! スパイ! 命取りのバカ!

ほんと、私を殺す気!?

いまの温井知絵の目には、東堂彦一が歩く時限爆弾にしか見えなかった。いつだってこの家で爆発しそうで、視界に入れるだけで胃がきゅっと縮む。

けれど、取り繕うのが得意な彼女は、見開いた目をすぐに元へ戻した。

笑うときだけ少しつり上がる古狸みたいな目に、点々と「平和」の光を浮かべてみせる。

「夏希ってほんと気が利くよねえ。ありがとねえ、私の大親友さま……」

――絞め殺す。

高橋夏希は、その笑顔に仕込まれた刃でハリネズミみたいに刺され、罪悪感たっぷりに手をぶんぶん振った。

「やだぁ、い...

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