第177章

身体ごと、背の高い肉の壁へ引きずり込まれた。

あたたかく沈んだウッディな香りをまとった男の気配が、容赦なく肌の隙間という隙間にまで入り込んでくる。

腰に回った腕の力がじわりと強まり、冷たく白い長い指が顎をつまんで持ち上げた。……視界の先、わずかに細められた瞳が、危うい光を放っている。

「急いであいつを呼び戻して、どうするつもりだった?」

声だけは、やけに優しい。

「……私を守ってもらおうと思って」

温井知絵は情けない顔で、半分泣きそうに縋るように言った。

東堂彦一が身を屈め、頬がさらに近づく。

濃い熱と日本酒の香りがふわりと頬を撫でた。

「どうして守りが必要なんだ? 温井秘...

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