第18章

江崎千恵は、温井知絵が黙ったままだと見るや、わざとらしく咳払いを一つした。

「夜7時。来ないなら、前に言ったとおり補償は10億のままよ」

そう言い捨てると返事も待たず、電話を切る。

温井知絵は耳からスマホを離し、画面を見つめたまま考え込んだ。

――高橋夏希の言ってたとおり、最後の2日でまだ何か仕掛けてくる気?

江崎千恵とは昔から折り合いが悪い。付き合っていた頃から、家柄が釣り合わないだの何だのと見下され、散々邪魔をされた。結婚してからの4年も、白瀬家に住むことすら許されない。年末年始に顔を出して食事をしても、返ってくるのは冷たい言葉と嫌味ばかり。

それ以外に、決定的に何かをされた...

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