第180章

温井知絵は、固まった。

思考がぐらりと揺さぶられ、魂だけが肉体から引き剥がされたみたいだった。

しばらくして、ようやく一言だけ返す。

「ようこそ」

わざわざ友だち追加をしてきたうえに、「来週の水曜に戻る」とまで告げてくる。意図なんて、これ以上ないほど露骨だ。

ぼんやりと、今朝――東堂彦一の妹が来たときの言葉が蘇る。母親から何かの電話があって、「お兄ちゃん、気をつけて」って。

まさか……その「何か」って、安部美波?

心が、じわじわ沈んでいく。

それでも、ふっと暗く笑ってしまった。

ぼうっとしている間に、スマホが手から滑って湯の中へ落ちた。花びらと泡に一瞬で飲み込まれ、慌てて拾...

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