第182章

東堂兼也は書斎にいた。

陸川志紀は三階の空中庭園で涼んでいる。

息子の姿を見つけると、ぱっと立ち上がって顔をほころばせた。

「今日どうしたの? お父さんから聞いたんでしょ、美波を戻すって。嬉しくて飛んできたの?」

東堂彦一は無表情だった。

怒っているわけではない。けれど感情の抜け落ちた目――底の見えない沈んだ眼差しは、それだけで人を怯ませる。

「彦一、なんでそんな目で見るの?」

陸川志紀は自分の頬を撫でる。

東堂彦一は丁寧に手を軽く振った。

「先に座ってください」

陸川志紀が腰を下ろす。東堂彦一も向かいに座った。

「夕飯は? メロン食べる?」

目の前のフルーツ皿から、...

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