第188章

温井知絵の頬が、ふわりと赤く染まった。

彼女は彼を睨む。

ここにいるのは二人きりなのに、まるで誰かに見られているみたいに声を落として釘を刺した。

「勤務時間中です。からかわないでください」

東堂彦一はさらに一歩詰め、額が触れそうな距離で囁く。

「今夜、屋上に来い。子猫を見に。もう何日も顔出してないだろ。あいつ、寂しがってた」

「行くのはいいですけど……泊まりませんから」

彼の唇を見つめてしまう。呼吸が勝手に熱を帯びた。

東堂彦一が、甘く温い吐息で彼女の頬をくすぐる。

「温井秘書は薄情な女になれる素質があるな」

「そういう言い方、やめてください。調子に乗っちゃいます」

言...

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