第192章

夢見る主人公の顔から、あたたかな王子の色が一瞬で消えた。

代わりに浮かび上がったのは、冷徹な王の貌。

その視線は、扉越しに外の人間の喉元を締め上げるかのようだった。

「俺が出る」

ダイニングのほうから、東堂彦一が歩いてくる。

わざわざ温井知絵の横を通りざま、ぽん、と彼女の尻を叩いた。

「お前は自分のことやってろ。構うな」

知絵は言いたかった。こっちだって構う気なんてない、と。

「はいはい。じゃ、任せる」

そう言って部屋へ引っ込む。

来たのが誰かなんて、二人とも分かっていた。

十中八九、安部美波が伊藤おじさんを押し切ったか、小沢諒が無理やり連れてきたか。適当な口実を作られ...

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