第198章

温井知絵の眠気は、一瞬でどこかへ吹き飛んだ。

本当なら――彼女があまりにも気を抜いていなければ。脳みそにべったり貼りついた眠気で感覚が鈍っていなければ。入る前に、もう物音に気づいていたはずだ。

ベッドを挟んで、東堂彦一と安部美波がそれぞれ片側に立っている。

片方は人を殺しそうなほど冷えた顔。もう片方は、屈辱を叩きつけられたみたいな表情。

安部美波は小さなキャミソール一枚だけ。

そして、部屋に漂う甘い香りがやけに馴染み深い。――これ、今日自分がつけた香水じゃない?

突然ドアが開いたことで、二人が同時にこちらを振り向いた。

「知絵……」

東堂彦一が大股で近づいてくる。

温井知絵...

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