第199章

陸川志紀の顔色が、さっと青ざめた。

どっちの選択肢も、彼女は選びたくない。

「考える時間は10分差し上げます。結論が出ないようなら、こちらで選ばせていただきます」

東堂彦一の口調はあくまで丁寧だ。だが、冷たく沈んだ視線は――まるでストップウォッチを握った試験官みたいだった。

「あなた……っ、私を追い詰めてるのね! 選ばない! 私は選ばないから!」

陸川志紀が、堪えきれず怒鳴る。

「母上。筋は通していただきたい。整理しますね」

東堂彦一は低く、落ち着いた声で続けた。

「俺は、安部美波を戻したくなかった。けど母上は『面倒を起こしに来たわけじゃない』『俺の恋人をいじめたりしない』『...

ログインして続きを読む